名古屋市内を移動する際に最も心強い味方になる公共交通機関が名古屋市営地下鉄。名古屋では東山線・名城線・名港線・鶴舞線・桜通線・上飯田連絡線の6つの地下鉄路線が走っており、名古屋の中心部と郊外の各所を結んでいます。
名古屋市営地下鉄の駅は2024年現在で87駅ありますが、中には初見ではなかなか難しい読み方をする駅や、うっかりすると間違えやすい駅も。そこで今回は、名古屋初心者の方向けに、名古屋市営地下鉄の87駅のうち「読みづらい難読駅」と「間違えやすい要注意駅」をピックアップし解説します。これを見れば名古屋ライフも安心です!
(難読度、要注意度はナゴヤト編集長の独断と偏見によるものです)
東山線
八田(はった) 【難読度★ 要注意度★★】
名古屋を東西に結ぶ東山線の中で、高畑から数えて2つ目にあるのが「八田」駅。読み方の「はった」は知っていれば難なく読めるというレベルですがが、実は地味に要注意な駅となっています。
実は名古屋には地下鉄名城線に「ナゴヤドーム前矢田」駅、名鉄瀬戸線にも「矢田」駅があり、こちらは「やだ」と読みます。そのため、うっかり八田を「やだ」と読み間違えてしまうと別の駅を指してしまうので十分注意が必要です。(ちなみに地下鉄名城線「ナゴヤドーム前矢田」駅と名鉄瀬戸線「矢田」駅はそこそこ距離があるのでこちらもご注意ください)
ちなみに八田駅はJR関西線、近鉄名古屋線の駅もあり相互に乗り換え可能です(とはいえ、いずれも名古屋駅を通るので、八田駅で乗り換える方はあまり多くありません……)
新栄町(しんさかえまち) 【難読度★★ 要注意度★★】
地下鉄東山線で栄駅の一つ東隣にあるのが「新栄町」駅。名古屋初心者の方だと「しんえいちょう」と読んでしまうことが多いのですが、「しんさかえまち」が正しい読み方です。
「新栄町」と似たような名前の駅に「栄町(さかえまち)」駅がありますが、こちらは名鉄瀬戸線の始発駅。地下鉄東山線・栄駅と地下街で直結しており、守山区・尾張旭・瀬戸へと向かう際によく利用されます。「新栄町」と「栄町」は路線も場所も全く別なのの、こちらも間違えないよう注意が必要です。
千種(ちくさ) 【難読度★★☆ 要注意度☆】
新栄町駅の一つ東隣にあるのが名古屋の難読駅の一つによく挙げられる「千種」駅。駅名では「ちくさ」と濁らずに読みます。
区の名前にもなっていることもあり名古屋人ならほぼ読めてしまう「千種」駅ですが、全国的には難読と思われている模様。なお、名古屋には愛知県立千種高等学校がありますが、こちらは「ちぐさ」高等学校と濁るのが正しい読みになります。ちなみに千種高校の所在地は千種区では無く名東区だったりします。
覚王山(かくおうざん) 【難読度★ 要注意度★】
千種駅から藤が丘方面へ3つ進んだ場所にあるのが「覚王山」駅。名古屋の人は「かくおうざん」と難なく読みますが、初見だとなかなか読みづらい駅名です。
覚王山駅の近くある日泰寺は「釈迦の遺骨(仏舎利)を安置する日本唯一のお寺」として有名。タイ国王から送られた仏舎利を安置するため、どの宗派にも属さない「超宗派」の寺院として建立されました。毎月21日の縁日の日は参道が大いに賑わうので足を運んでみるのもおすすめです。
本山(もとやま) 【難読度★ 要注意度★】
覚王山駅の東隣に位置するのが「本山」駅。地下鉄名城線との乗り換え駅にもなっている「本山」駅は「ほんざん」ではなく「もとやま」と読みます。知っていれば読みとしては普通に読める範囲ですね。
地下鉄東山線には「本陣」「本山」「本郷」と「本」がつく駅が3つありますが、「本陣」と「本郷」はそれぞれ「ほんじん」「ほんごう」と「ほん」と読むのに対し、「本山」だけが唯一「もと」と読む駅となっています。また、隣の「覚王山」は「かくおうざん」なのに対し、「本山」は「もとやま」。素直に読める範囲ではあるものの、うろ覚えだと読みがごっちゃになりやすい駅でもあります。
一社(いっしゃ)/上社(かみやしろ) 【難読度★★ 要注意度★★】
本山駅から藤が丘方面へ3つ進んだ場所にあるのが「一社」駅。ここはお隣の「上社」駅とセットで覚えておきたい駅です。というのも、同じ「社」の字がつく駅ながら、「一社」は「いっしゃ」、「上社」は「かみやしろ」と別の読みとなる、なんともややこしい関係にあるのがこの二つの駅なのです。
しかし、「一社」と「上社」のややこしさは駅名だけに留まりません。「一社」駅は地下鉄らしく地下に駅があるのに対し、「上社駅」があるのはなんと高架橋の上。地下鉄東山線は一社駅から上社駅へ向かう間に地上へと出て高架区間となるため、上社駅は地下鉄なのに高架の上に駅が設けられています。上にあるから「上社」……という訳ではありませんが、覚え方としてはアリかもしれません。
藤が丘(ふじがおか) 【難読度☆ 要注意度★★】
東山線の東の端にある駅が「藤が丘」駅。読み方はそのままストレートに「ふじがおか」ですが、”書き”の面で地味に要注意の駅となっています。
名古屋の地下鉄には東山線に「星ヶ丘」駅、名城線に「自由ヶ丘」と「茶屋ヶ坂」駅がありますが、これらはいずれも「ヶ」の文字を使用。「藤が丘」だけが唯一「が」を使っている駅となります。
実は「藤が丘」駅ももともとは「藤ヶ丘」駅表記。しかし、町名としては「藤が丘」が使われていたため、地元住民からの強い要望を受け、2004年に「藤が丘」に改名されました。駅名変更は駅の看板はもちろん、路線図や行先案内などを変更するために多額のお金がかかる(しかも終点駅である藤が丘駅の場合には影響が大変大きい)のですが、名城線名古屋大学~新瑞橋間延伸開業のタイミングに合わせ改名が実現しました。
名城線・名港線
金山(かなやま) 【難読度★☆ 要注意度☆】
地下鉄名城線・名港線の出発駅である「金山」駅は、名鉄やJRも走る名古屋の主要駅の一つ。名古屋の人はあたりまえに「かなやま」と読みますが、文字だけを見れば一般的には「きんざん」と読む方が自然ですね。
ちなみに「金山」の発音は「か/なやま」と「な」で上げて読むのが一般的ですが、名古屋人は「か/な\やま」と「な」だけを上げて読む場合も。名鉄のアナウンスなどでこのイントネーションでの読み方がよく聞かれます。
久屋大通(ひさやおおどおり) 【難読度★☆ 要注意度★★】
地下鉄名城線・栄駅の一つ北側にあるのが「久屋大通」駅。名古屋初心者の方は「くや」「きゅうや」と読まれる方もいるとのことですが、「ひさやおおどおり」が正しい読み方です。
中部電力MIRAI TOWER(テレビ塔)があるヒサヤオオドオリパーク(久屋大通公園)内に駅があることからつい「久屋大通公園」駅と言ってしまいがちですが、駅名としては公園がつかない「久屋大通」が正式。地下鉄東山線・名城線栄駅や名鉄瀬戸線栄町駅とはセントラルパーク地下街で直結しています。ちなみに久屋大通公園でイベントがある場合には、栄駅の方が便利な場合が多い点もご注意ください。
大曽根(おおぞね) 【難読度★ 要注意度★★★】
地下鉄名城線の北部にある「大曽根」駅は、JR中央線・名鉄瀬戸線・ゆとりーとラインも乗り入れる名古屋の北の玄関口の駅。少し読みづらい駅名ですが、「おおぞね」と濁るのが正しい読み方となります。
日本で唯一環状線の地下鉄として運行されている地下鉄名城線ですが、名港線への乗り入れの関係もあり、時間帯によっては「大曽根」行きの列車が運行されていることもあります。しかし、この「大曽根」行きの列車が実は要注意。平日夕方に設定されている「大曽根」行きに乗ると大曽根まで超遠回りになってしまうことがあるんです。詳しくは以下の記事にて解説しています。
瑞穂運動場東(みずほうんどうじょうひがし) 【難読度★ 要注意度★★★】
「瑞穂運動場東」は、環状線である名城線の中でだいたい4~5時ぐらいの方角にある駅。読み方は「みずほうんどうじょうひがし」で、陸上競技やサッカーなどが開催されるパロマ瑞穂スポーツパーク(名古屋市瑞穂運動場)が近くにあります。
読み方としては比較的難易度低めですが、要注意度は名古屋の地下鉄駅の中でもトップクラス。というのも、名古屋の地下鉄には似たような名前の「瑞穂運動場西」がある上、「瑞穂運動場東」は名城線、「瑞穂運動場西」は桜通線と別の路線にあるという非常にややこしい状況となっています。駅で待ち合わせしてから瑞穂運動場へ出かけるときには「東」なのか「西」なのかをお互いに十分に確認することが大切です。
新瑞橋(あらたまばし) 【難読度★★★ 要注意度★】
名城線と桜通線の乗り換え駅となっている「新瑞橋」駅は、名古屋の地下鉄の中でも最高難度の難読駅名の一つ。初見で正確に読むことは相当難しいですが「あらたまばし」と読みます。
先ほど紹介した「瑞穂運動場東」駅は新瑞橋から名城線で八事方面に向かって一つ隣の駅、「瑞穂運動場西」は桜通線を名駅・太閤通方面へ向かって一つ隣の駅というのもややこしさに拍車をかけていますね。新瑞橋駅から瑞穂運動場も徒歩圏内なので、瑞穂運動場へお出かけの際には新瑞橋駅で待ち合わせるというのも一つの方法です。
鶴舞線
浅間町(せんげんちょう) 【難読度★★☆ 要注意度☆】
鶴舞線の北部にある「浅間町」駅も名古屋では有数の難読駅名の一つ。「あさまちょう」「あさままち」と読みたくなりますが、「せんげんちょう」が正しい読み方です。
名古屋人でも「これがある!」といったイメージが強くはない浅間町ですが、実は名古屋駅にも比較的近く、静かで暮らしやすい地域でもあります。自転車を使えば名古屋駅まで楽々通勤可能なので、名古屋ぐらしの候補地として意外と悪くない場所の一つだったりします。
鶴舞(つるまい)【難読度★☆ 要注意度★★】
鶴舞線の路線名にもなっている「鶴舞」駅は、鶴舞線のだいたい真ん中ぐらいにある駅。近くに大学や専門学校がたくさんある上、沿線にたくさんの高校がある鶴舞線の中でJR中央線と乗り換えができる唯一の駅となっていることから、学生の利用が多い駅となっています。
そんな「鶴舞」駅は、名古屋人の地名ネタでは鉄板の話題となる駅。路線名や駅名では「つるまい」と読みますが、鶴舞駅すぐ近くにある「鶴舞公園」や「鶴舞中央図書館」では「つるま」と読むため、ドッチの読みが正しいの?と論争が巻き起こる地名となっています。
名古屋人に鶴舞の正しい読み方を質問すると「鶴舞は”つるまい”と”つるま”、どっちが正しいかって? そんなもん“つるみゃ~”に決まっとるがや!」までがワンセット。名古屋人渾身のネタなので最後までちゃんと聞いてあげてください(笑) ちなみに住所は「つるまい」読みが公式となっているそうです。
御器所(ごきそ)【難読度★★☆ 要注意度☆】
鶴舞線と桜通線の乗り換え駅となっているのが、名古屋の難読駅名の話題で必ず上がってくる「御器所」駅。「ごきそ」駅と読みますが、難読というわりには比較的そのまま読めるタイプの駅名かなとも感じています(個人の感想です)。
鶴舞線と桜通線と乗り換えができる駅としては「御器所」駅の他に「丸の内」駅がありますが、共通する特徴として「乗り換えが結構遠い」という点が上げられます。特に丸の内駅は乗り換えに300mぐらい歩かされるため「ここだけは絶対乗り換えたくない」という名古屋人も多数。しかし、実は御器所駅も桜通線が地下深い所を通っているため、乗り換えにかなり時間がかかります。鶴舞線の御器所駅は上小田井・伏見側に桜通線との乗り換え通路があるため、乗り換え予定の際には上小田井側の端っこに乗っておくと便利です。
桜通線
高岳(たかおか)【難読度★★★ 要注意度☆】
桜通線・久屋大通駅の一つ東隣にあるのが「高岳」駅。「たかおか」という読み方は、初見ではほぼ読めない名古屋最難関の難読駅名の一つです。
名古屋の中心部にありながらもあまり利用する機会は多くない「高岳」駅ですが、実は高岳のすぐ近くには、現存する店舗としては世界で最古のコメダ珈琲となる「コメダ珈琲高岳店」があります。最近の店舗とは又違った古き良き時代の趣が思いっきり感じられるコメダ珈琲高岳店、ぜひ一度足を運んでみてください。
車道(くるまみち)【難読度★★☆ 要注意度★】
桜通線・高岳駅のさらに一つ東隣にあるのが「車道」駅。「しゃどう」としか読めませんが、「くるまみち」と読みます。こちらも初見では読み間違いしやすい難読駅の一つですね。
車道界隈には風情のあるスポットがたくさんありお散歩にもぴったり。実は車道駅は千種駅から徒歩5分ほどしか離れておらず、東山線沿線からだと今池駅で乗り換えるよりも千種駅から歩いた方が早いまであったりします。名古屋めしのひとつ「鉄板イタリアンスパゲッティ」の発祥である喫茶ユキさんも車道界隈にあるお店の一つ。昔ながらの名古屋をぜひ味わってみてください。
今回は名古屋の地下鉄にあるたくさんの駅の中から、難読&要注意な駅をまとめてみました。名古屋の地下鉄は上手に利用すれば本当に便利なので、ぜひ地下鉄を活用して充実した名古屋ライフを楽しんでください。