「これこれ、こういうのがいいんだよ……」とポツリとつぶやきたくなる美味しさでした。
いつもたくさんの人で賑わっている名古屋・大須商店街。その真ん中を南北に貫く本町通の一角にある老舗の麺類食堂「互楽亭」があります。(大須界隈には伏見通・西大須交差点近くにも同名の「互楽亭」がありますが、そちらとは別のお店です)
名古屋で昔ながらの中華そばを食べるなら「麺類食堂」へ行くべき!
ところで皆さんは「麺類食堂」というフレーズはご存じでしょうか? 麺類食堂とは文字通り「麺類をメインに提供する食堂」のこと。他の地域だと「うどん屋さん」や「そば屋さん」と言われるようなお店ですね。かしこまった雰囲気では無く、気軽にさらりと入れる大衆的なお店を指します。
名古屋では「うどん屋さん」「そば屋さん」ではなく、今でも「麺類食堂」と呼ばれることが多い理由は「麺の種類が多いから」。老舗の麺類食堂では「うどん」「きしめん」「そば」「中華そば」を全部提供しているケースが多いため、どれか一つで呼ぶのではなく、全部ひっくるめて「麺類食堂」と呼ばれているのかと思われます。
大きな自家製チャーシューが3枚も! ボリュームも満点「チャーシューメン」
そんな名古屋の麺類食堂でぜひ味わってほしいのが「中華そば」。いわゆる昔ながらのスタイルの中華そばですが、これがまぁ美味いんです! 言ってみれば他地域の「うどん屋・そば屋の中華そば」に相当するメニューなのですが、名古屋の麺類食堂の中華そばは単なる「うどん屋・そば屋の中華そば」を超えて、お店ごとの工夫がしっかりと感じられる美味しいものばかり。お店によっては中華そばが一番人気というところもあるくらいです。
その中でも特にナゴヤトコトン編集長のお気に入りが今回ご紹介する「互楽亭」のチャーシューメンです。
澄んだ醤油スープにわかめにねぎ、朱色が映える名古屋かまぼこ、そして大きなチャーシューがドーンと3枚。見ているだけで食欲が湧いてくる「THE 中華そば」スタイルのチャーシューメンです。
麺は細目のストレート麺。プツプツしすぎないちょうどいい塩梅のコシがあり、無限にかみ続けたくなるようなシコシコと心地の良い食感です。
スープはおそらく鶏ガラを主体としたもの。「うどん屋・そば屋の中華そば」ではうどんつゆやそばつゆを流用してスープとしているところも多いのですが、名古屋の麺類食堂は鶏ガラ主体でスープを取っているお店も多いんですよね。
脂っ気を丁寧に取り除いたスープは旨味だけを純粋に味わえる一品。シンプルな味わいだからこそクオリティの高さをひしひしと感じられます。
そして大ぶりにカットされたチャーシュー、これがまた美味いんです。
これだけしっかりしたチャーシューはラーメン専門店でもなかなか見ないレベルのクオリティ。しっかりとタレが染みたチャーシューはパサつくこと無く、肉と脂の旨味を思う存分堪能出来ます。厚みもあるので食べ応えも抜群。スープと抜群に合うことを考えると、もしかするとチャーシューの煮汁をラーメンのかえしとして使っているのかな?と推測しています。
互楽亭で本格ラーメン店にもまけないチャーシューが付いてくるメニューは「中華そば」系のみ。中華そばために丁寧にチャーシューを仕込んでいるところにも「麺類食堂」の矜持を感じます。
そして〆のお楽しみがこちら。
小ライスを頼むとついてくる「おさかなふりかけ(おそらく和麺のつゆの出汁をとった節の再利用)」をご飯にパラリとのせ、そしてラーメンスープをたっぷりと注いでお茶漬けに。ふりかけから魚介の旨味が加わることでひと味違った美味しさを最後まで堪能できます。
ぜひこのチャーシューメンを食べに、名古屋大須の老舗麺類食堂「互楽亭」へ行って欲しい。そう思うほどの美味しさです。
「互楽亭」のチャーシューメンを味わいに行くには
「互楽亭」は大須商店街の中央部を南北に貫く本町通沿いにあります。地下鉄鶴舞線大須観音駅、地下鉄名城線・鶴舞線上前津駅からどちらも徒歩圏内です。
なお、大須には伏見通・西大須交差点付近にももう1軒「互楽亭」がありますが、別店舗なのでご注意ください。