
尾張徳川家の姫君たちが愛した絢爛豪華な雛の世界に触れられる特別展「尾張徳川家の雛まつり」が2026年2月7日(土)~4月5日(日)までの約2ヶ月間にわたり徳川美術館で開催。今年で39年目となる早春恒例の特別展では、江戸時代から近代に至る尾張徳川家伝来の雛飾りをじっくりと鑑賞することができます。

ナゴヤトコトンでは、2月6日に開催された内覧会に参加。この記事では、現地に足を運んで発見した徳川美術館の特別展「尾張徳川家の雛まつり」の見どころを厳選4選プラス1にてご紹介します。
「尾張徳川家の雛まつり」 見どころ厳選4選プラス1
圧倒的スケール!三世代の雛人形・雛道具がズラリと並ぶ「大雛段飾り」

「尾張徳川家の雛まつり」のメイン展示となるのが、明治・大正・昭和の3世代にわたる尾張徳川家当主夫人たちの雛人形が飾られた豪華な大雛段飾りです。

「大雛段飾り」には、明治期のものとなる尾張徳川家19代徳川義親夫人・米子氏、大正期に作られた第20代徳川義知夫人・正子氏、そして昭和初期の作となる第21代徳川義宣夫人・三千子氏の雛段飾りが、高さ2m・幅7mに及ぶ5段の雛段で展示。数多の雛人形や雛道具が一堂に並ぶ様子は圧巻の一言です。
また、「大雛段飾り」が納められている展示用のケースも注目のポイントです。御殿をイメージして制作された大きな展示ケースは、大雛段飾りの展示のために製作された特別製のもの。「大雛段飾り」の迫力と相まって、御三家筆頭であった尾張徳川家らしさあふれる圧倒的なスケール感を演出しています。

飾られている雛人形・雛道具はどれも精緻な作りのものばかり。明治、大正、昭和とそれぞれの時代の雛人形を一度に見比べながら移り変わりを楽しむこともできます。
複数対の雛人形が並んでいる様子は、かつて雛人形が初節句以外のお祝いごとの際にも贈られてきた往時の習慣に沿ったもの。贈られた雛人形を一堂に飾り付けていた、かつての節句行事の様子も大雛段飾りの中で再現されています。

もう一つの注目点は、精巧に作られた雛道具。雛人形には「姫君の分身」という意味合いがあり、婚礼調度を調える際には、分身である雛人形にも雛道具として同じものをミニチュアで調えていたそうです。細部まで作り込まれた雛道具も、雛人形に合わせてじっくりと鑑賞したいポイントです。
公家の装束を正しく考証して制作された「矩姫の有職雛」

2026年の「尾張徳川家の雛まつり」の2つ目の見どころが14代当主・徳川慶勝夫人の雛人形「矩姫(かねひめ)の有職雛」です。「有職雛」とは、公家の装束を正しく考証して作られたひな人形のこと。2026年は公家の正装である「束帯」を着用した男雛と「十二単」を着用した女雛が展示されています。

約30cmの高さである大きめの雛人形が着用している「束帯」や「十二単」は、どちらも人形に合わせて製作されたもの。服のサイズはもちろんのこと、生地の細やかな紋様まで人形サイズに合わせて仕立てられており、その細やかさにはただただ驚くばかりです。

「矩姫の有職雛」の展示ゾーンは、公家の平常時の装束である「直衣」「袿」姿の雛人形も展示。かつての公家の服飾文化を見比べながら楽しめます。

さらに会場では、矩姫が所持していたもう一組の小さなお雛様である「内裏雛飾り」も展示されています。こちらは箱に「御内証」と書かれており、内輪で楽しむためのプライベートなものであったとのこと。小さなお雛様も「有職雛」であり、公家の装束を正しく考証して作られています。
婚礼調度「菊折枝蒔絵貝桶」と雛道具「菊折枝蒔絵雛道具 貝桶/合貝」

「尾張徳川家の雛まつり」では、姫君が実際に使用した婚礼調度とそれを忠実に写して作られたミニチュアの雛道具を見比べられるのも見どころの一つ。2026年は尾張徳川家11代斉温継室・福君の婚礼調度として伝来した「菊折枝蒔絵貝桶・合貝」と、そのミニチュア版にあたる「菊折枝蒔絵雛道具 貝桶・合貝」が展示されています。
「貝桶」とは、合貝(あわせがい)を納める桶のこと。合貝は必ず対になる貝同士しか合わないことから「夫婦和合」の象徴とされ、大名の婚礼行列では先頭を飾るなど、婚礼調度の中でも最も重要なものとして位置づけられていました。「菊折枝蒔絵貝桶・合貝」「菊折枝蒔絵雛道具 貝桶・合貝」はともに、金銀と漆を用いた梨子地と呼ばれる豪華な仕立てとなっており、尾張徳川家の葵紋と福君の出身である近衛家の家紋・抱牡丹紋が随所に施されたデザインは両家の結びつきを感じさせます。


また、貝桶だけでなく、それぞれの合貝も注目のポイントです。合貝ははまぐりの貝殻から作られますが、ミニチュア版である雛道具の合貝も小さいサイズのはまぐりの貝殻で作られているとのこと。ただミニチュア化するだけではなく、姫君の分身たる雛人形が実際に使うことができる”本物の小さな婚礼調度”として作られていたことが伝わってきます。
将棋盤に豆本まで、雛道具が魅せる”ミニチュア婚礼調度”の世界

会場内には他にも多数の雛人形や雛道具を展示。徳川美術館に所蔵される日本最大級の婚礼調度や雛道具のコレクションの一端に触れることができます。どれも”豪華絢爛”という言葉をそのまま形にしたような素敵なものばかり。かつての御三家筆頭であった尾張徳川家に受け継がれてきた伝統と格式が感じられます。


雛道具では、源氏物語の”豆本”が納められた源氏箪笥や、将棋盤・囲碁盤・双六盤なども展示。豆本は本の中身まで精巧に再現され、将棋盤・囲碁盤・双六盤もミニチュアサイズながらも実際に遊ぶことができる形で作られています。手間暇とお金をかけて作られた雛道具の数々は、権威のあらわれの一つともなっています。
名古屋の旧家に伝わる「豊島家の雛人形」が初公開

2026年の「尾張徳川家の雛祭り」では、名古屋の旧家に伝わる雛人形も初披露。豊島知子さんから徳川美術館へ寄贈された「豊島家の雛人形」が初公開されています。
「豊島家の雛人形」は豊島知子さんの実家である名古屋の豪商・富田家(屋号:紅葉屋)で誂えられ、嫁ぎ先である豊島家に持参されたもの。雛人形としてはめずらしく木彫りで作られた人形はふっくらとした愛くるしい顔が特徴です。

復古やまと絵派の日本画家・森村宜稲氏が彩色を行った「豊島家の雛人形」は、優美さと明るさを兼ね備えた色合いも見どころの一つ。有職文様の小葵文裂地を用いた台や、富田家の家紋「丸に十字文」を施した瓶子など、格式と雅趣を備えた作りにも注目です。
玄関ロビーでは名古屋の老舗人形店の雛人形がお出迎え

プラス1の見どころは徳川美術館玄関ロビーの雛飾り。「尾張徳川家の雛まつり」の開催期間中、名古屋の老舗人形店である「大西人形本店」が制作した現代の雛人形がお出迎えしてくれます。こちらもお見逃しなく。
同時開催の企画展「金沢文庫本-流離う本の物語-」も必見

徳川美術館では、特別展「尾張徳川家の雛祭り」の開催期間中に企画展「金沢文庫・蓬左文庫交流展 金沢文庫本-流離う本の物語-」も同時開催。北条実時が創設した日本最古の武家文庫である「金沢文庫」と、尾張徳川家に伝来する古典籍を所蔵する「蓬左文庫」のコラボにより、日本が世界に誇る貴重な古典籍“金沢文庫本”と、金沢文庫・蓬左文庫が蔵書を守り伝えてきたあゆみが紹介されています。
本企画展での最大の注目ポイントが、金沢文庫の創設者である北条実時をはじめとした金沢北条氏の歴代当主の肖像画「国宝 四将像」の全幅公開。2月7日~3月8日までの前期には「北条実時像」「北条顕時像」、3月10日~4月5日までの後期には「金沢貞顕像」「金沢貞将像」の原本の展示が行われます。国宝である「四将像」が金沢文庫以外で公開される例はこれまでにもわずかな例しかなく、四将像全てが名古屋で公開されるのは今回が初めてという大変貴重な機会となっています。

また、会場内では、金沢文庫が保管・所蔵する「文選集注」「たまきはる(建春門院中納言記)」や、蓬左文庫に所蔵されている「河内本源氏物語」「斉民要術」など国宝や重要文化財として指定されている貴重な書物や書状などを多数展示。前期・後期で大幅な展示替えも予定されているため、2回足を運ぶのがおすすめです。
特別展「尾張徳川家の雛まつり」と企画展「金沢文庫・蓬左文庫交流展 金沢文庫本-流離う本の物語-」は1枚のチケットで両方を観覧することができます。ぜひ合わせてご覧ください。
歴史と伝統に触れられる「尾張徳川家の雛まつり」
この記事では徳川美術館にて2026年2月7日より開催される特別展「尾張徳川家の雛まつり」の見どころを、内覧会レポートとしてまとめてお届けしました。
2026年で39年目を迎える「尾張徳川家の雛まつり」は、徳川美術館の新館建設にあたって協力いただいた方々へ感謝の気持ちを伝えたいという想いから始まったとのこと。名古屋の早春の風物詩となった国内でも類を見ない豪華絢爛な雛まつりの世界、この春必見です。
■徳川美術館 特別展「尾張徳川家の雛まつり」 開催概要
会期
2026年2月7日(土)~4月5日(日)開館時間
10:00~17:00(最終入館は16:30)休館日
毎週月曜日(月曜が祝日の場合は、翌火曜日に振替)料金
一般 1,600円 / 高大生 800円 / 小中生 500円
※徳川美術館の常設展および同時開催される企画展「金沢文庫本 -流離う本の物語-」も観覧可能
※土曜日は高校生以下無料
※各種割引、団体料金あり詳しくは徳川美術館公式Webサイトにてご確認ください。
特別展「尾張徳川家の雛まつり」(2026年) - 名古屋・徳川美術館|The Tokugawa Art Museum尾張徳川家の雛まつり(2026年)(2026.02.07-2026.04.05):春の訪れを告げる雛祭りの時期に合わせて、江戸時代から近代に至る尾張徳川家伝来の雛飾りを展示します。江戸時代の姫君が所持していた有職雛や、婚礼調度のミニチュアで...
「尾張徳川家の雛まつり」に行くには
「尾張徳川家の雛まつり」は、2026年2月7日~4月5日まで、名古屋市東区にある徳川美術館にて開催。地下鉄名城線・JR中央線・名鉄瀬戸線・ゆとりーとライン『大曽根』駅から徒歩10分程度。基幹バス2系統や名古屋観光ルートバス「メーグル」の利用も便利です。
この記事は徳川美術館の公式プレスリリース及び「尾張徳川家の雛まつり」メディア向け内覧会にて取材した内容に基づいて作成しました。貴重な取材機会を頂きありがとうございました。



