駅アートにも名古屋がぎゅっと詰まっていました。
「大曽根駅」といえばJR中央線、名鉄瀬戸線、地下鉄名城線、ゆとりーとラインと4路線が集中する名古屋の北の玄関口。その一角で行き交う人たちをそっと見守っている巨大なモザイクタイルアートがあります。
「時の樹」と名付けられた巨大モザイクタイルアートがあるのは、名鉄瀬戸線の高架下にある「ミュープラット大曽根」の北側入り口付近。制作をRyo Fukuda氏、デザインをSatsuki Nonaka氏が担当し、瀬戸の伝統や名鉄の歴史など時の流れが育んできた実りをタイルで表現しています。
作品に使われた5523ピースは全て手作り 様々な隠しピースも
作品に使われているタイルの数は全部で5523ピース。制作にあたってのエピソードが書かれたインスタグラムアカウント「時の樹日記」によると、タイルの成型から、釉薬、焼成に至るまでの作業をすべて手作業で行っているため、形も色も厚さも一つずつ全て違っているそうです。一枚ずつ個性がある表情豊かなタイルは、機械では表現できない味わい深さがあります。
そんな「時の樹」には名古屋をモチーフとした「隠しピース」も。その一つが名古屋のシンボルの一つともなっている「シャチホコ」なんとも言えない愛くるしい表情が素敵ですね。
もう一つの名古屋のシンボル「テレビ塔」もタイルで再現。こちらも手作りならではの味わい深さがあります。
これはもしかして名古屋市科学館?
東山動物園のコアラも見つけました。
名鉄瀬戸線を走る電車もタイルで再現。緑色の色合いはかつて瀬戸電で走っていた電車の色を思わせます。
名古屋だけではなく、瀬戸をモチーフにした隠しピースも。トンネルのように見えるこのピースはかつて瀬戸にたくさんあった「薪窯」。瀬戸の街並みを作り、支えてきた窯もタイルで再現されています。
こちらの写真の左下あるのが瀬戸の煙突をモチーフとした隠しピース。右側の川のように見えるのは、かつての瀬戸電に存在した「ガントレット」と呼ばれる線路施設がモチーフ。瀬戸電がまだ名古屋城の外堀の中を走っていた頃、狭い橋を潜り抜けるため単線の幅の中に複数の線路を重ねた「ガントレット」は瀬戸電の名物として親しまれていたそうです。
「蝶の道」が示す瀬戸電の変遷
作品の下部に広がっている蝶の道は、制作を担当した深田さんの思いが詰まった名鉄瀬戸線の路線をモチーフとしたもの。同じ道を行ったり来たりする蝶の飛ぶ道“蝶道”を、どの名鉄線とも繋がっていない名鉄瀬戸線になぞらえています。
蝶の赤は昔の瀬戸電の色、銀は現在走る瀬戸電の色とのこと。赤と銀の蝶は現在もある駅、赤色の蝶は廃駅を表しているそうです。
名古屋と瀬戸、そして2つを結ぶ名鉄瀬戸線の今昔が詰まったモザイクタイルアート。大曽根に行ったらぜひ見つめてみて下さい。
大曽根駅のモザイクタイルアートを見るには
名鉄瀬戸線大曽根駅の高架下にある「ミュープラット」、1F北出入口付近で自由に見ることができます。