「庵野秀明展」に庵野秀明氏ご本人が登場! ナゴヤトコトンの特報レポートをお届けします
2024年4月13日より金山南ビル美術館棟にて開催中の「庵野秀明展」 愛知展。全国を巡回してきた「庵野秀明展」の最終会場となる愛知展が開場したことを記念し、庵野秀明氏本人が会場をサプライズ訪問!愛知展の目玉展示の一つである『シン・エヴァンゲリオン劇場版』第3村のミニチュアセットの前で、展示に協力した次世代を担う学生たちからの質問に答えながらエールを送りました。
庵野秀明氏が「庵野秀明展」の会場を訪れたのは2021年の東京会に続いて2回目。「これが最後なので、最後のご挨拶をしておこうと」という思いから訪問したとのことです。庵野監督が好きな名古屋のあるスポットに関するお話も飛び出したサプライズ訪問の一部始終を特報レポートとしてお届けします。
第3村ミニチュアセットの前で学生たちと質疑応答 庵野秀明氏が好きな『エヴァンゲリオン』のキャラクターは○○○!
庵野秀明氏のサプライズ来場に合わせて会場に招待されたのが『シン・エヴァンゲリオン劇場版』第3村場面設定・画面構成検証用ミニチュアセットの設営に協力した名古屋学芸大学の学生14名。庵野氏は愛知展会場を内覧した後、次世代を担う若きクリエイターを目指す学生たちとギャラリートークを行いました。
「今のうちにいろいろやってみておいてください。映像だけじゃなく、デザインだけではなく、世間のいろんなものを見たほうが後々自分のものになっていくので、若いうちにいろいろ見聞した方がいいと思いますよ。頑張ってください」というエールから始まった庵野氏と学生とのギャラリートーク。学生からも次々と質問が飛び出します。
学生からの質問と庵野監督の回答の一部をご紹介します。
―― 庵野さんの考えるヒーローとはこういう存在であってほしいというヒーロー像はどのようなものなのか教えてください。
庵野 「ヒーローはまず強くないといけない」と思います。それはフィジカルでもメンタルでも。最近はメンタルが弱いヒーローもいますけど、メンタルの弱いヒーローが強いヒーローになるのがいいとかですね。そういうのも含めて。とにかくヒーローはまず強くなきゃいけないとは思っています。
その上で「行動目的が他人のため」というのは必要なのかなと思います。自分のためにというのはヒーローの概念から外れると思うので、他の人を助けるとか他の人のためになるように行動するのが僕の中のヒーローの定義かなと思います。
―― 幼い頃から触れていた『エヴァンゲリオン』でしたが、大きくなった今、改めて見返してみるとかなり響くものがありました。もともと中学生をターゲットに作成されたアニメ漫画ですが、庵野さんがそこに込めたかったものというか伝えたかったものを、完結して時間が経った今思っていることをお聞かせください。
庵野 映像作品というのは誰かに見てもらって初めて完成するので、それまではただのデータなんですよ。それがモニターなりスクリーンなりに映って、それを見る人がいた時に初めて映像として完成する。その時にはもう自分のものじゃないですよね。それを見た人のものになっていますから、見た人がどう感じるかというのも、その人が見た時の年齢とか状態とか、その日の体調まで含めての印象になるので、そこはもういろんな人がいろんな感じ方をしてくれればいいなと思っています。
だから自分でここはこうですとかいうのはあんまり言わないようにする。それが答えにされちゃうのもつまらないなと。3年前に見た映画をもう一回たまたま見直したら、全然印象違うっていうのも多々あることなので。今、『エヴァンゲリオン』つまんねーっていう人も、もうちょっとしてから見たら面白くなる時があるかもしれないので、その時はよろしくお願いします。
―― 庵野さんの好きなエヴァンゲリオンのキャラクターは誰ですか?
庵野 キャラはやっぱりアスカですかね。アスカが一番思い入れがいきます。シンジとかレイはほっといても自分の底にあるものが滲み出てきて自分の分身っぽいのが見えてしまうんですけど、ミサトとアスカは全く外の感覚で作ってる。あの2人は僕にとっては他人なんですよ。リツコもそうですけど。どうしても自分の底の部分っていうのが溜まっちゃってるのがシンジとかレイなんで、やっぱそういうのが全くないアスカとかミサトがいいですね。
最初はミサトだったんですけど、だんだん自分が年取ってくるとアスカもいいなと。多分年が離れすぎて良くなったんだと思います。
「庵野秀明展」は庵野秀明氏にとっての「感謝と恩返し」 お気に入りの名古屋のお気に入りスポットの話題も
学生たちとのギャラリートークに続けて行われた囲み取材では、庵野秀明氏自身が抱く「庵野秀明展」への思いについて説明。「本当は恥ずかしい」と話しつつも、「若い人たちにアニメ・特撮・映像はこうやって作られているんだというところに少しでも触れてもらい、そういう『面白いものを作る』というところに一人でも多くの才能が集まってくれると嬉しい」と企画に応じた経緯について話されました。
囲み取材での質問と庵野監督の回答も一部ご紹介します。
―― 若い方だったりとか夢を追う方々に、特にこういうところを見て、こういうものを感じ取って欲しいというものがあったら教えて下さい。
庵野 作っている時の中間生成物みたいなものはかなり展示していると思うので、こういうふうにできているんだというのを、完成された映像だけではなくて、映像を完成させるまでにこれだけの大変なことをしているというのが少しでも伝わればいいなと。これは僕だけのことではないので、映像全体がこういうことから作られているということ、その面白さに触れていただければと思います。
―― 「庵野秀明展」は2021年10月の東京での開催を皮切りに、全国各地を回って愛知で最終開催地を迎えました。最終開催地を迎えてご自身の感想はいかがでしょうか?
庵野 恥ずかしかったですけど、やっと終わるんだなと(笑) 次はなかなかないと思います。終わりそうでよかった。本当に会場で楽しんでいただければと思っています。
―― 仕事や人生においてこういったことを大事にして取り組んでいるみたいなことがありましたら、お聞かせ下さい。
庵野 特に仕事ですけど、仕事で作品を作るときは、自分のためではなく、世の中とか他の人とか、友人なり、知人なり、全く見たこともないファンの人なり、世間というものに対して何か役に立つものにしようと思ってやっています。
自分のためだけで作っても仕方がないんで、とにかく他の人の何かちょっとでもいいから役に立つ作品を作ろうと、自分の生活のなるべく人の役に立つようにしたいなと。これは難しいです。
―― 名古屋全体に対するイメージや、実はこんな名古屋とご縁がありますよみたいなお話がありましたらお聞かせ下さい。
庵野 名古屋に来るたびに本当に思うのが「道路が広いな」と。いいですね広い道路。名古屋のどんとした街づくり、これはいいなと。
僕にとって名古屋といえばもう「名古屋タワー(編注:中部電力MIRAI TOWER)」なんですよ。名古屋タワーいいです。いい形をしています。東宝のゴジラでもちょっと出てきますが、あれ以来名古屋タワーのファンで。今はホテルになってて泊まれるようになってるんですよね。泊まります。ちょっと高いんですが、名古屋タワーだし。
何年か前に名古屋に来て三菱の工場の見学をさせていただいたときに、三菱の工場もすごく良かったんですけど、なんと言ってもリニア・鉄道館。これ、名古屋に来た方はぜひ見に来てください。本当に良いですよ。他にも、明治村とか、ちょっと名古屋から離れてもいろいろありますよね。ぜひ名古屋に来てみてください、面白いです。
―― 今回、名古屋ご当地のグッズだったりがあったと思うんですけれども、そちらをご覧になられた感想をお聞かせください。
庵野 金色は外せないんだなと(笑) 名古屋といえば金ですよね。金色の何かというのはいいなと、名古屋らしくて。
『シン・仮面ライダー』Blu-ray & DVDの発売も発表 庵野氏から今後の展開に関する気になる発言も
そして今回の庵野秀明氏サプライズ来場に合わせ、『シン・仮面ライダー』Blu-ray & DVDの発売決定についても庵野秀明氏自身より発表が行われました。
『シン・仮面ライダー』Blu-ray & DVDは11月に発売とのこと。完全受注限定版(Amazon ver./キングレコード ver.)では、クモオーグ、コウモリオーグ、サソリオーグ、ハチオーグ、カマキリ・カメレオン(K.K)オーグのムービーモンスターシリーズ5体が限定グッズとして付属。さらに、ムービーモンスターシリーズ 仮面ライダー ライダーキックver.、劇中仕様に限りなく近いクオリティの仮面ライダー、仮面ライダー第0号のレプリカマフラーも同梱するという、超豪華仕様となっています。
庵野氏によると、『シン・仮面ライダー』Blu-ray & DVDには映画本編には入らなかった「OMITシーン」を可能な限り入れているとのこと。また、Blu-ray & DVD版ではそれぞれのシーンの撮影場所をテロップとして表示できるようになっており、「4コマのために6コマのためにこんなところで撮っているということなど、ものすごく細かくいろんなところで撮っているかなというのが実感できる」と、Blu-ray & DVD版ならではの楽しみ方についても話されていました。
さらに、Blu-ray & DVD版には特典映像として本来のテレビシリーズと同じフォーマットに解体・再編集した『各話フォーマット版』が付属。「映画じゃなかったらこうしてるんだなっていうのを体感していただければ」と庵野氏もおすすめしていました。また、これについては「色々やろうと考えている」とのこと。今後の続報にも注目です。
庵野秀明氏もサプライズ来場した「庵野秀明展」愛知展は、6月3日まで金山南ビル美術館棟にて開催。アニメや特撮などの映像製作の技術の変遷からいつの時代も変わらない「作ることの面白さ」を肌で実感することが出来る展覧会、クリエイターを目指す方々なら必見です。
「庵野秀明展」を見に行くには
JR・名鉄・地下鉄金山総合駅 南口から徒歩すぐ、金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)で開催されます。エスカレーターで上がれます。