展示総数およそ2000点! 「庵野秀明を作り出したもの」と「庵野秀明が作り出したもの」を間近で見ることができる圧巻の展示は名古屋が最後の機会です!
「庵野秀明展 愛知展」がいよいよ4月13日(土)より金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)にて開幕。『エヴァンゲリオン』シリーズや『シン・ゴジラ』『シン・ウルトラマン』など数々の作品を生み出してきた庵野秀明氏にまつわる様々な“現物”の資料から、庵野秀明の作品作りの原点や創作活動の秘密に迫ることができる初の展覧会がいよいよ名古屋で開催されます。
全国を巡回してきた「庵野秀明展」もいよいよ名古屋・金山でフィナーレ。回を重ねるごとに展示物も追加され、総勢およそ2000点を誇る充実した展示はどれだけ時間があっても足りないぐらいの充実度。今回は、メディア向け内覧会で一足先に拝見した「庵野秀明展」の圧巻の展示内容と見どころを最速レポートにてお届けします。
庵野秀明をつくったもの ~ 『原点、或いは呪縛』『夢中、或いは我儘』
エスカレーターを登った先にある会場入口では仮面ライダー旧1号に扮した若き日の庵野秀明がお出迎え。いきなり来場者を驚かせてくれます。
会場内は5つの章で構成。庵野秀明をつくってきたもの、庵野秀明がつくってきたもの、そして庵野秀明がこれからつくっていくものを順に体験出来るようになっています。
第1章「原点、或いは呪縛」
第1章「原点、或いは呪縛」では、庵野秀明氏が幼少期に親しみ、今なおリスペクトを抱いている数々のマンガ・アニメ・特撮作品にまつわる様々なアイテムが展示。『ウルトラマン』『宇宙戦艦ヤマト』『機動戦士ガンダム』など庵野秀明氏が触れてきた数々の名作は、現在に至る創作への原動力の一つとなっています。
今年で50周年を迎える『宇宙戦艦ヤマト』については、新規展示を追加。
中でもナゴヤトコトン編集長が注目したのは、第1章入口に置かれていた一台の古びたミシン。実はこのミシンこそが庵野秀明氏の創作の「原点中の原点」とも言えるものなんです。ミシンに隠された秘密は、ぜひ会場にてご確認ください。
第2章「夢中、或いは我儘」
第2章「夢中、或いは我儘」では、中学生~高校生~大学生、そしてアマチュアからプロの世界へと歩みを進める庵野秀明氏がそれぞれの時代で生み出してきた作品を一同に展示。中学生時代の庵野秀明氏が描いた油絵はアッと息を呑むほどの素晴らしさです。
見どころはなんと言っても庵野秀明自らが作った絵コンテや作画資料とともに見る過去作品の映像の数々。特に庵野秀明氏の名がアニメーション業界に知られるきっかけとなった「DAICON III オープニングアニメーション」のクオリティの高さには驚かされること間違いナシです。
第2章の後半ではアニメの世界にプロとして飛び込み、アニメーターとして、そして商業作品として数々の実績を上げていく庵野秀明氏が造り出してきた作品の数々の“現物”資料を展示。アニメーターとして制作に関わった『風の谷のナウシカ』『超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか』や、企画段階から関わった『王立宇宙軍 オネアミスの翼』、監督を務めた『トップをねらえ!』『ふしぎの海のナディア』などにまつわる実物の制作資料から庵野氏の作品作りを垣間見ることができます。
庵野秀明がつくったもの ~ 「挑戦、或いは逃避」「憧憬、そして再生」
『ふしぎの海のナディア』の展示を見終えると、いったん会場を出てエスカレーターを登って4階へと向かいます。エレベーターを上がった先にはこんな案内が。
4階の展示会場入り口前のスペースは庵野秀明氏の妻・安野モヨコさんの作品が原作となったスタジオカラーの最新作『オチビサン』のゾーン。キャラクターパネルも設置されており、フォトスポットにもぴったりです。
『新世紀エヴァンゲリオン』
4階会場に入ると巨大なエヴァゲリオン初号機がお出迎え。ここからいよいよ『エヴァンゲリオン』シリーズに関する展示が始まります。
第2章「夢中、或いは我儘」の続きとして位置づけられているこのゾーンでは、テレビシリーズ『新世紀エヴァンゲリオン』に関する様々な資料を展示。テレビシリーズの企画書やシンジ・レイ・アスカ・ミサトなどのキャラクターの草案、エヴァンゲリオンや使徒の最初期のデザイン画や画コンテなどなど、ここでしか見られない作品資料が至る所に展示されています。
第3章『挑戦、或いは逃避』
『新世紀エヴァンゲリオン』の制作終了後、しばらくアニメ制作の一線からは距離を置いた庵野秀明氏。しばしの休息の後、実写映画や特撮作品を手がけるようになります。第3章「挑戦、或いは逃避」の前半では、『新世紀エヴァンゲリオン』制作終了後に手がけた『ラブ&ポップ』『式日』『キューティーハニー』などの資料を展示。また、絵コンテ制作に関わった『美少女戦士セーラームーンS』や若手育成の狙いも込めて制作された少女マンガ原作作品『彼氏彼女の事情』についても資料展示が行われています。
第3章後半では庵野秀明氏が『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの制作と並行して取り組んだ『特撮博物館』、そして特撮博物館の取り組みがきっかけとなって誕生した『シン・ゴジラ』に関する資料を展示。中でもシン・ゴジラの展示ゾーンでは、実際の制作にも使われたゴジラの原型を含む貴重な資料を間近で見ることができます。
そして今回の「庵野秀明展」 愛知展最大の見どころが、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の制作時に実際に使われた「第3村」の巨大ミニチュアセット。アニメにおける新しい映像表現を模索する中で庵野秀明氏が生み出した“特撮とアニメの技法の融合”の極致、見るもの全てを圧倒します。
第3村ミニチュアセット以外にもアスカとケンスケが暮らしていた「ケンスケの家」や「北の湖の廃墟(ネルフ第2支部N109棟跡)」のジオラマセットも展示。もちろんどちらも制作現場で使われた実物です。他にも庵野秀明氏をはじめスタッフの皆さんの結晶ともいえるたくさんの資料があり、いつまでもここにいたくなるような空間となっていました。
第4章「憧憬、そして再生」
『シン・エヴァンゲリオン』のゾーンを抜けると、いよいよ展示も終盤。第4章「憧憬、そして再生」では、『シン・仮面ライダー』『シン・ウルトラマン』に関する展示が行われています。
『シン・仮面ライダー』では、制作時に使われた資料とともに9個のマスクを展示。今回が初お目見えとなるマスクもあります。
『シン・ウルトラマン』もここでしか見られない様々な資料が展示が行われています。
庵野秀明がこれからつくるもの ~ 『感謝、そして報恩』
第5章「感謝、そして報恩」
最後のゾーンとなるのが第5章『感謝、そして報恩』。このゾーンには庵野秀明氏が現在取り組まれている「アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)」「アニメ(ーター)見本市」「でぼぎゃらりー」「プロジェクトスタジオQ」の活動が紹介されています。
「アニメ・特撮の技術や文化の継承」と呼ばれるこれらの活動も、第1章から通して見ることで「庵野秀明がなぜこのような形の活動に取り組むのか」「庵野秀明がこれから何をしていこうと思っているのか」を改めて認識することができます。
そして最後にお見送りしてくれるのが『シン・ゴジラ』『シン・仮面ライダー』『シン・ウルトラマン』。最後の最後まで圧巻の展示が続きます。
ミュージアムショップも必見
展示会場を抜けると待っているのが「ミュージアムショップ」。作品に関するアイテムはもちろん、会場限定のここでしか買えないものもいっぱい!ついついお財布のひもが緩んでしまいそうな魅力溢れるアイテムがズラリと並んでいます。
ミュージアムショップの魅力溢れる商品たちは別の記事でご紹介予定なので楽しみにお待ちくださいね。
「創作」に関わる人なら絶対に見ておくべき「庵野秀明展」
今回は4月13日から始まる「庵野秀明展」について最速で会場レポートをお届けしました。
『エヴァンゲリオン』シリーズをはじめ、数々の名作を生み出してきた庵野秀明氏。およそ2000点という圧巻の“生資料”の展示からは、庵野秀明氏の創作の原点となったものや創作の中でこだわりつづけたことが圧倒的な迫力で押し寄せてきました。まさに「全てが見どころ」という言葉がふさわしい展覧会、特に「創作」活動に何かしらの形で関わっている方なら必見です。
ナゴヤトコトン編集長の個人的な発見としては「庵野秀明の描く女の子、めっちゃかわいい……!!」。特にアマチュア時代の作品に描かれた庵野秀明直筆のイラストや資料に描かれた女の子たちが本当にかわいかったのが印象的でした。『エヴァンゲリオン』シリーズに代表される作品ではメカやSF的描写に目がいきますが、人物描写もまた庵野秀明のなせる技なのだと改めて感じました。
「庵野秀明展」愛知会場は4月13日より6月23日までにわたり、名古屋・金山の金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)にて開催。全国を巡回してきた「庵野秀明展」も名古屋でフィナーレ。この機会、お見逃し無く。
「見るなら早くしろ、でなければ帰れ」
「庵野秀明展」を見に行くには
JR・名鉄・地下鉄金山総合駅 南口から徒歩すぐ、金山南ビル美術館棟(旧名古屋ボストン美術館)で開催されます。エスカレーターで上がれます。