実際に触って動かせる展示もいっぱい!子どもから大人から楽しめる無料の穴場スポットです。
名古屋市中区丸の内にある「市営交通資料センター」は、市電・地下鉄・市バスなどについて遊びながら学べる施設。開業から100年以上を数える名古屋市交通局の貴重な資料が集められている他、列車運転シミュレータなどの実際に触れる展示も多く揃っている名古屋市交通局版「ミニ鉄道博物館」的スポットです。
1996年(平成8年)に開設された「市営交通資料センター」ですが、その後2000年(平成12年)に名古屋で活躍していた市電や地下鉄の車両を保存展示する「レトロでんしゃ館(名古屋市 市電・地下鉄保存館)」が開設されたこともあって、一般の名古屋人に広く存在が知られているとは言えない状況が続いてきました。名古屋をトコトン面白がる筆者もそう言う場所があるということはおぼろげには知っていたものの、実際に足を運んだことはありませんでした。
そこで今回、一念発起して「市営交通資料センター」を現地訪問。するとそこには、想像以上に面白い地下鉄・市バスワールドが広がっていました。
「市営交通資料センター」に到着したものの……本当にココであってる??
Googleマップで調べてみると、市営交通資料センターがあるのは「久屋大通駅と丸の内駅と名古屋城のだいたい真ん中ぐらい」という場所。街中ながらも、どの駅からも微妙に距離があります。
地図を頼りに現地へと向かい、センターがある「丸の内会館」へと到着。思った以上にオフィスビル感にあふれる佇まいに「本当にここで合ってる?」と不安になったのは正直なところです。
ロビーを入って改めて確認すると「市営交通資料センター」の文字を発見。どうやら間違ってはいなさそうです。
エレベーターで6階まで上がると、目の前に入り口を発見! やっとそれらしい雰囲気になってきました。
入館料は無料ですが、入館前にはバッグや紙袋、リュックサックなどはロッカーに入れる必要があるとのこと。ロッカーは100円玉を入れるコイン式のものが設置されています。利用後は100円玉が返却されるので忘れないようにご注意ください。
無料で入れる「市営交通資料センター」、実はめちゃめちゃスゴかった!!
無料なのにめっちゃ楽しい! 触れて学べる展示がたくさん!
荷物を預けていざ「市営交通資料センター」の中へ。すると、無料の施設とは思えないほど驚きのお宝が所狭しと展示されていました。
入り口のすぐ近くで出迎えてくれたのはこちらの時計。一見普通の時計に見えますが、これはなんと「名古屋市営地下鉄開業時の電気時計」なんです。しかもこの時計は今でも立派に現役稼働。鉄道やバスの運行とって正確な時刻を教えてくれる時計、最初からさらっとスゴいものが展示されています。
続いて目に飛び込んでくるのが大きな鉄道模型ジオラマ。よくあるNゲージ模型よりも大きな地下鉄車両が走る線路の中にテレビ塔やナゴヤドームなど名古屋の情景を表す様々な建物などがジオラマで再現さいれています。
そしてこの鉄道模型ジオラマでは、線路の上の車両を実際に運転することが可能。それも、古い電車でよく使われていた「2ハンドル式のマスコン」で本物の電車さながらに操作することができます。
せっかくなので筆者も運転にチャレンジ!
力行から惰行、そして制動と本物の電車さながらに運転できる鉄道ジオラマは、鉄道運転の楽しさを味わえると共に、その難しさ・奥深さも実感できます。ホームをちょっとオーバーランしてしまったのもご愛敬。鉄道ファンならずとも心がワクワクする展示でした。
もう一つの目玉展示「鶴舞線運転シミュレーター」は激ムズ本格仕様!!
鉄道模型ジオラマに並ぶ「市営交通資料センター」もう一つの目玉展示が地下鉄運転シミュレーター。鶴舞線で今も現役で走っている「3050形」の運転台をそのまま再現し、実際に鶴舞線を走行した映像がコンピューター処理されて映し出され、本物の地下鉄と同じマスコンを操作して運転を体験できます。
筆者もチャレンジしましたがこれがかなりの高難易度! 特に停車位置にピタッと止めるのは何度やってもできませんでした。日々ダイヤ通り地下鉄を運行する運転手の皆さんの技に脱帽です。
この他にも魅力的な展示がたくさん。地下鉄運転シミュレーターの隣にあったのは地下鉄への運転指令を行うための列車運行表示盤。これも平成11年12月まで名城線にて実際に使われていたもので、運行中の全ての列車がこの表示板によって管理されていたそうです。
また、パンタグラフや東山線・名城線で採用されている第三軌条方式での集電装置も展示。地下鉄が動く仕組みも間近で見ることができます。
名古屋市電や昔の地下鉄車両で使われていたマスコンも実物を展示。
個人的に興味深かったのがプリペイドカード「ユリカ」の自動販売機。カードをそのまま改札に入れて通ることができたのは当時は本当に画期的でした。
市バス関係の展示も充実 市バスの中のアレも操作できちゃう!?
また、市電や市バスが走っていた昔の名古屋の風景写真や、市バスの模型・関連グッズなども多数展示。往時の雰囲気を味わうことができます。
そして市バス関連では「行き先案内板&車内放送」の装置も体験可能。ボタンをポチっと押すと次の行き先へと切り替わると同時に、停留所の案内が自動的に放送されます。これも市バスで実際に使われているものとのことです。
この他、撮影は行いませんでしたが、鉄道・バス関連の貴書籍や雑誌などが集められた閲覧コーナーも設置。普段はめったに見かけない貴重な資料も多く、昔の鉄道について調べたいときにはピッタリです。
「市営交通資料センター」で買えるお土産がとんでもないレアグッズ!?
鉄道やバスに関するたくさんの展示を入館料無料で楽しめてしまう充実の「市営交通資料センター」。実は、ここでゲットできるお土産がとんでもないレアものなんです。
その超レアお土産グッズが「期限切れの記念乗車券」。「市営交通資料センター」では、名古屋市交通局が過去に発行していた記念乗車券の販売を行っており、当時の販売価格に近い1枚500円~1000円程度で購入することができます。
訪問記念に筆者が選んだのは平成元年9月に発行された「地下鉄桜通線開通記念 バス地下鉄全線一日乗車券」。銀を削るタイプの一日乗車券、とことん懐かしいです……!
ちなみにドニチエコきっぷなどの一日乗車券を提示すると、「市バス・地下鉄・ハッチー・マナカ ミニミニシール」ももらえるとのこと。これもまたなかなか手に入らないレアアイテムです。
「市営交通資料センター」は2025年3月までに一般開放が終了する可能性
今回初めての訪問となった「市営交通資料センター」。実際に足を運んでみると充実した展示に数多くの資料、そして貴重な記念乗車券も手に入ると鉄道ファンにはたまらないスポットであることが分かりました。無料で楽しむことができるので鉄道好きのお子さんを連れて遊びに行くのにもぴったりですね!
しかし、ここで一つ残念なことがあります。先日名古屋市交通局から発表された「名古屋市営交通事業経営計画2028(案)」によると市営交通資料センターは令和7年度より一般開放を終了する計画とのこと。名古屋市交通局のPR施設としての機能は赤池工場にあるレトロでんしゃ館に集約し、資料センターは一般非公開の資料収集施設と役割分担を行うとのことです。
まだ経営計画は案の段階ですが、このまま計画が承認されれば令和6年度をもって「市営交通資料センター」の一般開放は終了する形となります。残り1年と少し、今のうちにたくさん足を運んで展示を堪能しおくのが良さそうです。