大河ドラマ「光る君へ」でも注目の紫式部が紡いだままの世界観に間近で触れられます
尾張徳川家に伝わり、徳川美術館が所蔵する国宝「源氏物語絵巻」は王朝時代の人々の雅びやかな暮らしぶりを余すところなく伝えてくれる現存最古の物語絵巻。徳川美術館では毎年11月に所蔵する国宝「源氏物語絵巻」15巻の中から2巻を特別公開していますが、2024年は9月22日から11月24日までの2ヶ月にわたり、場面を入れ替えながら5巻が特別公開されることになりました。
特別公開 国宝「源氏物語絵巻」
紫式部直筆の『源氏物語』は現在は存在が確認されていませんが、『源氏物語』は多くの人によって写本が残されました。さらには『源氏物語』を題材とした「源氏絵」やそれに詞書(文章)を付けた「源氏物語絵巻」も多数制作。徳川美術館の所蔵する国宝「源氏物語絵巻」は現存最古、かつその最高峰に位置づけられるもので、12世紀前半、平安時代後期の宮廷を中心として制作されたと考えられています。
徳川美術館の所蔵する国宝「源氏物語絵巻」は紫式部が『源氏物語』を著してから百数十年後の制作となるものの、原作に近い時代の雰囲気をよく伝える作品となっているのが特徴。爛熟した王朝文化の伝統を踏まえて、研ぎ澄まされた感性による絵画表現、美麗に装飾された料紙にしたためられた詞書の優美な書など、多くの「源氏絵」の中でもひときわ高い格調と説得力をもって、令和の時代においても見る者を魅了しています。
2024年の特別公開にて公開されるのは、以下の5巻です。
「蓬生」 9月22日(日)~10月6日(日)
第15帖。
雨あがりの月夜、偶然に末摘花の屋敷のそばを通りかかる光源氏。朽ち果てた屋敷で末摘花に再会した光源氏は、自分を信じ待ち続けた彼女の心に感動し、生活を手厚く援助することを誓う。
「柏木(二)」 10月8日(火)~10月20日(日)
第36帖。
光源氏の妻である女三の宮と密かに通じた自責の念から、重い病に倒れた柏木。見舞いに来た親友で光源氏の息子の夕霧に、自身の妻の今後と光源氏への謝罪を託しつつ、別れを告げる。
「東屋(一)」 10月22日(火)~11月4日(月祝)
第50帖。
異母姉である宇治の中の君の屋敷に預けられた浮舟は、中の君の夫である匂宮に言い寄られ傷つく。中の君は浮舟を不憫に思い、自室に招いて女房に絵物語の詞書を読ませる。絵に見入る浮舟は、亡き姉によく似ていた。
「関屋・絵合」「竹河(二)」 11月16日(土)~11月24日(日)
第16帖・17帖。
石山詣に出かけた光源氏は、17歳の時に一度だけ逢瀬を遂げた空蝉と、逢坂の関で10余年振りにすれ違う。空蝉は昔を偲び、切ない思いを込めて和歌を詠んだ。
第44帖。
玉鬘の娘・大君と中の君の姉妹は幼い時から争ってきた桜の所有権を賭けて碁を打ち、女房達は楽し気に囃し立てる。蔵人少将は夕暮れの霞の中に浮かぶ大君の姿を垣間見て、ますます恋心を募らせる。
秋季特別展みやびの世界「魅惑の源氏物語」も同時開催
国宝「源氏物語絵巻」の特別公開に合わせ、徳川美術館では秋季特別展 みやびの世界「魅惑の源氏物語」を開催。国宝「源氏物語絵巻」をはじめとする『源氏物語』ゆかりの品々を通じて紫式部の人となりを探るとともに、日本が世界に誇る『源氏物語』の文化史を紹介し、『源氏物語』の魅力の一端を紐解きます。
国宝「源氏物語絵巻」特別公開及び秋季特別展の詳細については徳川美術館公式Webサイトをご覧下さい。
国宝「源氏物語絵巻」特別公開に行くには
国宝「源氏物語絵巻」の特別公開は名古屋市東区徳川町にある「徳川美術館」にて開催。地下鉄名城線・JR中央線・名鉄瀬戸線・ゆとりーとライン『大曽根』駅から徒歩10分程度、基幹バス2系統や名古屋観光ルートバス「メーグル」の利用も便利です。
徳川美術館の通常料金は大人1600円、高校生・大学生800円、小中学生500円。オンライン前売りチケットでは割引きもあります。前売りチケットは公式オンラインチケットサイトにてお求めください。