
名古屋市科学館にて整備が進められていた新展示施設「鉄道ひろば」が2026年3月28日(土)にグランドオープン。世界でたった一両しか残されていないB6形蒸気機関車の動態展示をはじめとした貴重な鉄道車両4両の展示を中心として、鉄道と科学技術の歴史を学ぶことができるスポットが完成しました。
正式公開を翌日に控えた2026年3月27日(金)15時より開設記念セレモニー及び報道陣向け特別内覧会が開催。ナゴヤトコトンも内覧会に参加し、「鉄道ひろば」の魅力を徹底取材しました。この記事では、「鉄道ひろば」内覧会での取材内容に基づいて、「鉄道ひろば」の見どころをトコトンご紹介します。
名古屋市科学館「鉄道ひろば」注目ポイント 総まとめ
B6形蒸気機関車をはじめとした4両の貴重な鉄道車両を展示

新しい「鉄道ひろば」には、10年ぶりの帰還となった「B6形蒸気機関車」、天皇・皇后陛下や皇族の方が乗車する”お召し列車”に連結して随伴者が乗車していた「供奉車344号」、昭和初期に名古屋で製造された「オハ35 2001号」、そしてかつて名古屋市民の足として親しまれていた「名古屋市電 1401号車」の4両の鉄道車両が展示。往時の姿をそのままにしながら整備が行われ、ピッカピカの姿で再び名古屋市科学館に戻ってきました。
世界で唯一現存する「B6形蒸気機関車」の動態展示が実現!

新しい「鉄道ひろば」の最大の目玉展示となっているのが「B6形蒸気機関車」の動態展示です。
「B6形蒸気機関車」は、1890年~1906年に製造された日本・ドイツ・アメリカの3ヶ国で製造された蒸気機関車。名古屋市科学館で展示されるB6形はドイツ製のものであり、陸軍に納入された後、国鉄中央線・武豊線・高山線などで活躍しました。ドイツ製のB6形蒸気機関車としては世界で唯一保存されている車両となります。

1968年に名古屋市科学館へ譲渡されたB6形蒸気機関車は、屋外にて展示が行われていましたが、2016年に調査のために館外へ搬出。その後、動態展示に向けた復元作業が行われた後、名古屋市科学館に帰還しました。名古屋市科学館への10年ぶりの帰還となります。

名古屋市科学館に帰還した「B6形蒸気機関車」は、蒸気の代わりに圧縮空気の力で動輪を動かす「動態展示」ができるよう整備が行われました。動輪部分にはレールの代わりに滑車が取り付けられ、その場で動輪が回転できるような設備が施されています。

また、車両の北側には大型の透過型LEDモニターを設置。動輪がダイナミックに動く様子を映像と重ね合わせて見られるようにすることで、蒸気機関車が動作する仕組みが分かりやすく理解できるように工夫されています。
2026年3月27日に開催された開会記念セレモニーでは、広沢一郎名古屋市長の合図により動態展示の実演が行われました。圧縮空気で動作する動輪の動きはもちろん、汽笛や煙もしっかりと再現。間近で見る動態展示の様子は、圧倒的な大迫力でした。

車両の後方にあるデッキからは運転台を見ることも可能。往時のままの姿を留めながら、動態展示を行う際の様々な装置が取り付けられていました。
「B6形蒸気機関車」の動態展示は、平日は1日3回・土日祝は10時30分~16時30分まで1時間に1回行われます。1回の動態展示の時間は約15分。蒸気機関車が動く仕組みをしっかり学びたい方は大型LEDモニターがある北側、蒸気機関車がダイナミックに動く様子をしっかりと見たい方は南側で見るのがおすすめめです
■B6形蒸気機関車 動態展示スケジュール
平日
10時30分、13時00分、15時00分(1日3回実施)土日祝
10時30分~16時30分までの毎時30分(1日7回実施)
「お召列車」に連結 日本唯一の展示となる「供奉車344号」

「鉄道ひろば」の南側には「供奉車344号」が登場しました。供奉車とは、天皇陛下や外国からの国賓など特別な方がご乗車するために仕立てられた「お召列車」のうち、天皇陛下のお供をする方々が乗車する車両のこと。全国で供奉車が展示されるのは名古屋市科学館のみという、貴重な展示です。

供奉車344号は、1932年に製造。皇太子だった昭仁上皇がお乗りになる昭和時代のお召列車「2号編成」へ主に編成されていたそうです。1986年に供奉車としての役目を終え、JR東日本の大宮総合車両センターに保管されていましたが、2024年にJR東日本から譲渡を受け、「鉄道ひろば」にて展示されることとなりました。


皇室ゆかりの列車である供奉車344号の格式の高さをうかがえるのが車両に施された番号表示。車両中央部の「344」の数字や、出入口付近にある「イ 17」「ロ 16」の文字は全て金文字で書かれています。

供奉車344号は、平日に限り1日3回設けられる公開時間に限り内部を見学することが可能です。車両の後部にある青色のシートの席は二等席。固定式ボックスシートとなっており、座席の間にはミニテーブルが備え付けられています。

入口に近い席のテーブルはひときわ大きなものとなっていたのが印象的。もしかすると打ち合わせがしやすいように大きなテーブルが備えられていたのかもしれません。床や壁も板張りとなっており、特別な列車ならではの格調の高さがうかがえます。

車両前方部にある一等席には、赤色のシートがズラリと整列。床にはじゅうたんが敷かれている点も、随伴者の中でも高位の方が乗車してきた歴史を感じさせます。

肘付きのソファのようなシートは回転式となっており、窓の方向を向いて景色を眺めることも、内側を向いて話をすることもできるようになっています。長時間にわたる列車旅を快適に過ごせるよう、通常の列車にはない様々な工夫が備えられています。
ナゴヤトコトンが気になったのは、車両前方部のデッキへと向かう扉が中央ではなく左側についていること。この理由についての説明はありませんでしたが、供奉車の前方には天皇陛下をはじめとした皇族の方々がお乗りになる「御料車」が連結されることを考えると、直接見通すことを避けるためにあえて左側に扉がつけられたのかもしれません。


ちなみに一等席と二等席の間にある通路の左右にはトイレと洗面所が設置されていました。こうした設備も長い列車旅では必要不可欠です。(こちらのトイレ・洗面所は使用できません。)
供奉車344号は、平日に限り、1日3回のスケジュールで車内に乗車して見学することが可能。1回につき約30分間見学できるとのことでした。
■供奉車344号 乗車スケジュール(平日のみ)
9時30分、12時00分、16時00分(1日3回実施)
名古屋生まれの初期型鋼鉄製客車「オハ35 2001号」

「鉄道ひろば」の北側に展示される「オハ35 2001号」は、昭和14年に名古屋市熱田区の日本車輌株式会社の工場にて製造された客車。現在の普通車にあたる3等車として使われ、日本各地で運行が行われていました。1972年に現役を引退した後は、岩手県盛岡市の岩手県交通公園で展示。展示終了後は、JR東日本総合車両センターで保管されていましたが、今回、JR東日本から譲渡を受け、「鉄道ひろば」での展示が行われることとなりました。

戦前生まれの「オハ35 2001号」は、もともとオハ35のトップナンバーである「オハ35 1号」がつけられていたとのこと。1966年に、電気暖房設備を取り付ける改造工事を受けた際に2001号に改番されたそうです。

車両中央部に設置されているのは、昔ながらのスタイルの「名古屋行き」の行先方向板。現在は車両上部に方向幕やLEDで行き先を表示しますが、昔はこのように低い位置に設置されていました。

「オハ35 2001号」は、「鉄道ひろば」のオープン時間内であればいつでも車内に乗車して見学することができます。青色のクッションが付いた固定式のボックスシートはもちろん、ロープ製の網棚や天井・照明の雰囲気もレトロ感が満載です。

車内にはかつての国鉄路線図も掲示されていました。掲示されていたのは「オハ35 2001号」が現役時代の晩年を走った東北・上信越エリアの路線図。こちらも必見です。

また、「オハ35 2001号」の車内は休憩スペースとしても利用可能。持参したお弁当や飲み物を飲食することも可能です。ただし、「汁物など、こぼれるおそれがあるもの」「強いにおいを発するもの」「密閉式キャップのない飲み物」は展示物や車内設備を傷める恐れがあることから、車内への持ち込み・飲食はNGとなっています。休憩スペースとしては使えますが、貴重な展示品を傷つけない配慮が求められます。

また、もう一つの見どころが「車外の風景」。車両の横にはベンチが備え付けられており、まるでホームから車両を眺めるような景色を楽しむことができます。天気がいい日であれば、車両を見ながら一服するのも楽しそうです。
再塗装でピカピカに!かつての名古屋市民の”足”「名古屋市電 1401号車」

鉄道ひろばの奥側にあたる名古屋市科学館建物の東側には、「名古屋市電 1401号」が移設されて展示が再開しました。


1936年に製造された「名古屋市電 1401号」は、名古屋市民の”足”として親しまれた後、1974年に路面電車の廃止に伴って現役を引退。その後、名古屋市科学館の屋外にて「B6形蒸気機関車」とともに展示されてきました。 今回の「鉄道ひろば」の整備に伴って展示を一時休止していましたが、その間に再塗装などの修復・整備を行って、場所を移して再び展示が始まることとなりました。

「名古屋市電 1401号」も、平日限定で1日3回設けられる公開時間に限り内部を見学することができるようになりました。列車内は1974年に引退した際の状態がそのまま残されており、かつて名古屋市民に親しまれてきた路面電車の空気感をそのまま味わうことができます。

路面電車を運転する運転台などの設備も間近で見られるのもうれしいポイント。名古屋市電 1401号には運転台が両端部にそれぞれ備え付けられているので、両側見比べるのがおすすめです。

また、車内見学で注目したいのが、往時のまま残された広告の数々。つり革や窓の上部などに、当時の広告がそのまま残っており、中には令和の現在まで続く老舗の広告も見つけることができました。こうした広告はなかなか残ることがないため、今となっては大変貴重な資料といえるでしょう。
東側壁面にも注目!「B6解剖図鑑」には”実物の部品”を展示


東側の壁面は蒸気機関車や鉄道にまつわる歴史について学べる解説パネル。産業革命とともに発展した鉄道の歴史や、蒸気機関や鉄道の発展がもたらした暮らしの変化についてじっくりと学ぶ事ができるようになっています。

また、B6形蒸気機関車の後方にある展示コーナー「B6解剖図鑑」も見逃し厳禁ポイント。「B6解剖図鑑」には、B6形蒸気機関車の修復・整備する過程で、圧縮空気を使用した動力への切り替え時に不要となった部品の実物がそのままの姿で見ることができます。


展示されているのは、ボイラーでつくられた蒸気をシリンダーへ送る「主蒸気管」やボイラー前方に取り付けられていた「煙室管板」、石炭を燃やした熱が送り込まれる「煙館」など蒸気機関車の外側からは見ることができないものばかり。こうした蒸気機関車の心臓部にあたる部品の実物を間近で観察できるのは、日本全国でも非常に珍しいと思われます。

中でもナゴヤトコトンが特に注目したのが「加減弁」と呼ばれる装置。蒸気機関車の速度調整を行う”アクセル”に相当する装置で、実際にレバーを動かして速度調整を行う仕組みを体験することができるようになっていました。蒸気機関車の発展とともに育まれてきたテクノロジーも「鉄道ひろば」の見どころです。
銀河鉄道999「メーテル」&「鉄郎」も鉄道ひろばに登場!

名古屋市科学館の新展示施設「鉄道ひろば」では、2026年3月28日・29日に開催されるオープニングイベントにて、隣接する名古屋市美術館で開催中の「松本零士展」とのコラボレーション企画を実施。松本零士氏の代表作である「銀河鉄道999」のメーテルと鉄郎と一緒に写真を撮ることができるコラボフォトスポットが2ヶ所設置されます。

コラボフォトスポットの1つ目は「供奉車344号」の前方車端部。連結部分にメーテルと鉄郎の等身大パネルが設置され、外側からメーテルと鉄郎が列車に乗り込んだような景色を撮影できます。
オープニングイベントが行われる3月28日・29日の2日間は、11時~13時と14時~16時00分の2回にわたって供奉車の公開も行われ、メーテルと鉄郎と一緒に写真をとることも可能。貴重な機会をお見逃し無く!

もう一つのコラボフォトスポットは「オハ35 2001号」の車両後方側の窓に設置。まるでメーテルと鉄郎が列車に乗っているような様子を写真に収めることができます。


ちなみに「供奉車344号」のメーテル&鉄郎はアニメ版、「オハ35 2001号」のメーテル&鉄郎は映画版となっているとのこと。キャラクターデザインの違いにも注目です。
名古屋市科学館の新展示施設「鉄道ひろば」は見どころが盛りだくさん!

今回は、2028年3月28日にオープンする名古屋市科学館「鉄道ひろば」の見どころを一挙まとめてご紹介しました。注目展示であるB6形蒸気機関車の動輪がダイナミックに動く動態展示は圧巻の一言!他にも「供奉車344号」をはじめとして、ここでしか見られないものも数多く展示されており、非常に充実した展示内容となっていた印象でした。
屋外展示である「鉄道ひろば」は、オープン時間内であれば無料で自由に見ることができるのも大きな魅力。名古屋巡りをするならぜひ足を運びたい名所がまた一つ増えました。
名古屋市科学館「鉄道ひろば」に行くには
名古屋市科学館「鉄道ひろば」は、白川公園内にある名古屋市科学館北側スペースに2026年3月28日(土)よりオープン。地下鉄東山線・鶴舞線『伏見』駅5番出口から徒歩7分程度です。
なお、名古屋市科学館は、愛知県知立市に本社を構える「株式会社FUJI」がネーミングライツスポンサーに就任したことを受け、2026年4月1日より「FUJIなごや科学館」の愛称が用いられることとなりました。これに伴い、「鉄道ひろば」についても「FUJI鉄道ひろば(英語表記: FUJI RAILWAY PLAZA)」の愛称が用いられます。(本記事については、新愛称使用前のため「鉄道ひろば」の表記にて統一しました。)
この記事は2026年3月27日に開催された名古屋市科学館「鉄道ひろば」開設記念セレモニー及びプレス向け内覧会会場での取材内容に基づいて作成しました。貴重な取材機会をいただきましてありがとうございました。


