
2023年10月より休館し、全面リニューアル工事が続けられていた名古屋市博物館が約3年ぶりにプレオープン!特別展「名古屋には秀吉がおるでよ!ー秀吉と尾張の歴史ー」「リトアニアーバルトの森に響く歌ー」が2026年9月5日(土)~11月1日(日)までの約2ヶ月間にわたり開催されることとなりました。
ナゴヤトコトンでは、プレオープンに先立って行われた名古屋市博物館のプレス向け内覧会に参加。この記事では、”構造以外はほぼ全面リニューアル”という大規模リニューアル工事を経た名古屋市博物館の最新の様子と、プレオープン期間に開催される2つの特別展をはじめとした各種イベントの見どころをまとめてご紹介します。
構造以外はほぼ全面リニューアル!新しい名古屋市博物館の注目ポイント

名古屋市博物館が誕生したのは1977年10月。50年近い年月を経る中で建物や設備の老朽化が進んだ他、国宝や国指定重要文化財を多数収蔵する建物として要求される耐震基準への対応などの課題を解決するために、2023年10月より休館してリニューアル工事が進められてきました。
今回のリニューアル工事は「建物の構造以外はほぼ全面リニューアル」という非常に大規模なもの。現在ある本館の隣に新たに東館を新設して施設面積を拡大するほか、本館についても耐震やバリアフリーへの対応はもちろん、老朽化していた展示スペースも一新し、より良い環境で展示物を観賞できるように整備が進められています。
本館建物は従来のタイル貼りの建物から、ベージュと黒のツートンカラーの外観へと一新。現代的なスタイリッシュな雰囲気となり、敷地外からも目を引く印象的なデザインへとなりました。
明るく落ち着いた雰囲気の館内空間

全面改装された館内は非常に明るい空間となったのが印象的。リニューアル前は大理石調の重厚な雰囲気となっていましたが、リニューアルを経て木をふんだんに取り入れた明るく温かみがあり、スマートさを感じさせる内装デザインへと生まれ変わりました。
最新技術を用いた展示ケースで今まで以上に展示を楽しめる!

今回のリニューアルでも展示室内も全面リニューアル。”構造以外はほぼ全部リニューアル”となった展示室も木目調の落ち着いた雰囲気となり、全体的にすっきりとした印象となりました。

リニューアルされた展示室の最大の注目ポイントは「展示ケース」。新しい展示ケースでは、低反射コーティングが施された大型の高透過ガラスが採用され、反射による映り込みやガラスによる色合いの変化を極力抑えた最高の展示環境が実現されました。今回の内覧会では新しい展示ケースに納められた数々の展示品を撮影しましたが、展示の正面に立って撮影していても自分の姿が全く映らないほどクリアに撮影できるのには本当に驚きました。
もちろん、ケースの内部も温度や湿度を綿密にコントロールできる最新の設備を導入。国宝や重要文化財をはじめとした貴重な品々を展示するための環境がしっかりと整えられています。
この他、今回のリニューアルに合わせて全面更新されたもう一つの重要な設備の「トイレ」。リニューアル前は”和式”で使いづらかった男性トイレも、今回のリニューアルで新しい洋式トイレとなり、より清潔で快適に利用できるようになりました。もちろん、バリアフリーへの対応も進められています。
前庭エリアもイベントスペースとしても利用出来るよう全面改修

本館の西側に面する前庭エリアも全面改修が行われ、中央に大きな芝生広場が設けられました。広々とした芝生広場はイベントの開催も想定した設計となっており、今後マルシェや展示と連動したイベントなどの開催も見据えているとのことです。

また、芝生広場の周囲には屋根付きの休憩スペースやベンチ、デッキなどを設置。”街のオアシス”的な存在として日常から足を運びたくなるような素敵な雰囲気の空間となっています。天気の良い日であれば、ここでちょっと一服をしたり、思索を巡らしたりするのも気持ちよさそうです。
ロゴとシンボルマークが新たに制定!

また、今回のリニューアルに伴って新たに制定されたのが「ロゴ」と「シンボルマーク」。実は名古屋市博物館にはこれまでロゴやシンボルマークがなかったため、今回のリニューアルに合わせて新たに制定されたとのことです。
新たに制定された名古屋市博物館のシンボルマークは「NAGOYA CITY MUSEUM」の頭文字である「N」「C」「M」の3文字を図案化したもの。ベースカラーは博物館が所蔵する書籍の表紙色である「浅葱色」からヒントを得た青色が使われ、Mの下側の部分に名古屋の象徴である金鯱をイメージした金色が差し色として使われました。また、ロゴのフォントはシンボルマークが持つ角度や形状から組み立てた、新しい書体が使われています。

リニューアルした本館建物にももちろん新しいシンボルマークとロゴが登場。名古屋市博物館に行ったら、ぜひ玄関の新しい”顔”にも注目してみてください。
2つの特別展に加えて多様なイベントが同時開催!
プレオープン期間中に楽しめる名古屋市博物館のイベントの見どころまとめ

名古屋市博物館では、2026年9月5日~11月1日までをプレオープン期間とし、2つの特別展「名古屋には秀吉がおるでよ!ー秀吉と尾張の歴史ー」「リトアニアーバルトの森に響く歌ー」を中心に様々なイベントが行われます。ここからは、名古屋市博物館のプレオープン期間中に楽しめる特別展&イベントの見どころを一挙まとめてご紹介します。
特別展「名古屋には秀吉がおるでよ!ー秀吉と尾張の歴史ー」

特別展「名古屋には秀吉がおるでよ!―秀吉と尾張の歴史―」は、一代で天下人となった豊臣秀吉と尾張との関わりを紐解く歴史系展示。現在の名古屋市中村区で生まれ、清洲で織田信長に仕えたこと以外には尾張との関わりが少ない印象がある豊臣秀吉ですが、織田信長の家臣として出世を続ける間はもちろん、天下統一後も尾張を重要視し、晩年には自ら尾張国を支配するほど深い結びつきを有しています。
今回の特別展「名古屋には秀吉がおるでよ!」では、2022年に新たに所蔵された国指定重要文化財「豊臣家文書」をはじめとした名古屋市博物館に所蔵される様々な資料を中心に、これまであまり注目されてこなかった豊臣秀吉の生涯と故郷である尾張との関係を紐解いています。
見どころ1 ~ 「豊臣秀吉が”天下人”となった公式文書」が展示!

特別展「名古屋には秀吉がおるでよ!」で見逃せない注目の展示が、重要文化財「豊臣家文書」の一つである「位記」。豊臣秀吉が関白に任命されたと同時に、天皇に次ぐ最高位である「従一位」の位を与えられたことを示す公式文書が、名古屋市博物館に所蔵されてから初めて展示されます。
今もなお鮮やかに発色する朱色の印影は天皇の御璽によるもの。豊臣秀吉が名実ともに”天下人”となったこと示す貴重な公式文書を間近で観ることができます。

「豊臣家文書」からは、豊臣秀吉の甥である豊臣秀次が関白に任ぜられた際の公式文書「宣旨」も名古屋市博物館蔵として初めて展示。秀次に関白を譲り、「太閤秀吉」となったことを示す貴重な資料にも注目です。
見どころ2 ~ 豊臣秀吉と尾張を結ぶ多様なジャンルの歴史資料が一堂に!

(右上)火縄銃 銘「国友小池春房」 名古屋市博物館蔵 (右下)太刀 銘「鳴丸」 鎌倉時代 個人蔵
特別展「名古屋には秀吉がおるでよ!」は、出生の謎に迫るプロローグから始まり、信長家臣として出世を続けた秀吉の歩みをたどる第1章「天下統一への道のり」、全国を治めて名実ともに天下人となった秀吉の後半生を紐解く第2章「天下統一へ」の3パート構成で展示を展開。それぞれの時代の秀吉のあり方を示す様々な資料が展示されています。
展示には文書だけでなく、掛け軸や屏風といった美術品も多数展示。さらには若きの豊臣秀吉が治めていた鉄砲の産地・近江国国友村で作られた『火縄銃 銘「国友小池春房」』や、織田家と深い関わりがある西加藤家の当主に秀吉が贈ったとされる『太刀 銘「鳴丸」』にも注目です。
見どころ3 ~ ”天正大判”に触れる!? 体験型展示も盛りだくさん!

特別展「名古屋には秀吉がおるでよ!」では、様々な体験ができるコーナーも設置。中でも注目したいのが「天正大判を触ってみよう」のコーナーです。
同コーナーでは、本物そっくりに作られた天正大判のレプリカが専用のケースに納められており、箱にあいた穴に手を入れて実際に触れることが可能。重さも本物の天正大判と同じ165gになっており、その重みを実際に感じ取ることができます。

ちなみに、会場内には豊臣家が鋳造した大型金貨「天正大判」の実物も展示。今なお失われない輝きは、往時の豊臣家の権勢を物語っています。こちらは触れることはできませんが、間近で鑑賞できる貴重な機会となっています。

また、会場内には江戸時代の火縄銃に触れられるコーナーも登場。火縄銃の構造や質感を触って学べる貴重な機会が待っています。

さらに会場では、名古屋市立大学の学生が中心となった名古屋市博物館サポーター「MARO」が考案した戦国カードゲームで遊ぶことも可能。カードゲームで遊びながら、信長・秀吉・家康の三英傑について学べます。

この他会場には、「秀吉の朱印スタンプ」を押せるコーナーも登場。手帳やノートに押せば、来場の記念にピッタリです(押印用の紙も用意されています)。
特別展「リトアニアーバルトの森に響く歌ー」

同時開催されるもう一つの特別展「リトアニアーバルトの森に響く歌ー」は、バルト海沿岸に位置するリトアニア共和国の文化や歴史について深掘りする日本初めての本格的展覧会です。本展覧会は2025年にリトアニア国立博物館と名古屋市博物館が友好館協定を締結したことにより実現したもの。リトアニア国立博物館の全面的な協力の下、名古屋市博物館の自主企画展として開催されます。
見どころ1 ~ リトアニア国立博物館が全面協力!展示物のほぼ全点が日本初公開

特別展「リトアニア」に登場する数々の展示物は、ほぼ全てがリトアニア国立博物館が所蔵するもの。リトアニアの民俗・文化や歴史を紐解く貴重な品々は、ほぼ全てが日本初公開のものとなります。

リトアニアを紐解くキーワードは「森」と「音楽」。第1章では「森」とともに暮らしてきたリトアニアの人々の暮らしを、第2章ではリトアニアの祝祭や信仰と深く結びついた「音楽」にフォーカスを当て、様々な角度からリトアニアの文化を紹介しています。

第1章の注目展示は「ソダス」と呼ばれる装飾品。幾何学模様に自然をかたどったモチーフを加えた「ソダス」は、リトアニアでは”ハレの日”の飾りやお守りとして大切にされてきました。麦わらと糸で作られたソダスが映し出す”影”の美しさにも注目です。

第2章の注目展示はリトアニアの民族衣装。リトアニア国立博物館では、民族衣装の復元や修復にも取り組んでおり、今回の展覧会に合わせて貴重な衣装が名古屋にやってきました。リトアニアの伝統様式の美しさに触れられると共に、リトアニア国立博物館による文化の伝承への努力も垣間見ることができます。

続く第3章では、大国に挟まれて歴史の流れに翻弄されてきたリトアニアの「自由のための戦い」にフォーカス。幾度となく大国の支配下に置かれたリトアニアが、苦難の末に自由と独立を勝ち取った歴史を貴重な資料から紐解いています。

展示のエピローグにはリトアニアの現在を表す様々な展示物が登場。”リトアニアの第2の宗教”ともよばれるとあるスポーツに関する展示は、何と学芸員さんが個人的に所有しているものを展示しているとのことです。
見どころ2 ~ リトアニアの民族衣装を着られる! 充実した体験コーナーも必見

別室に設けられた体験コーナーでは、リトアニアの民族衣装を実際に着用することが可能。撮影用のバックパネルも用意されており、特別展「リトアニア」に来場した記念にリトアニアの人たちになりきって撮影を楽しむことができます。

衣装は男性用・女性用それぞれ用意。服だけでなく、男性用の帽子や女性用の花冠も用意されています。色鮮やかで美しいリトアニアの民族衣装を着ることができるのはめったにないチャンス。特別展「リトアニア」に足を運んだら、見逃し厳禁です。

また、体験コーナー内には、外交官・杉原千畝が発給した「命のビザ」に関する体験ができる2つのコーナーも設置されています。第一次世界大戦の際に多くのユダヤ人の命を救った「命のビザ」で知られる外交官・杉原千畝は、現在の愛知県立瑞陵高等学校にあたる愛知五中の出身であり、名古屋とゆかりが深い人物。そして、杉原千畝が「命のビザ」を発給していたのが、当時赴任していたリトアニアでした。
リトアニア国立博物館と名古屋市博物館との交流も、杉原千畝が繋いだ縁がきっかけとのこと。「命のビザ」にかかわる体験を楽しめば、杉原千畝が紡いだリトアニアと名古屋の縁も感じられます。
プレオープンイベントも続々開催!

2026年9月5日~11月1日までの名古屋市博物館プレオープン期間中には、特別展以外にも様々なイベントが開催されます。
プレオープン期間中の土・日・祝には、地元名古屋で活躍する落語家・講談師や大道芸人らが日頃鍛えた芸を披露しながら学芸員とともに面白おかしく展示解説を行う「博物館パフォーマー」を開催。地元商店街との連携による「博物館やっとかめマルシェ」やアジア競技大会・アジアパラ競技大会で行われる様々な競技を体験できる「はくぶつかん競技大会」、ダンボールのラクダで前庭を駆け抜ける「ラクダレース」なども開催予定です。
■名古屋市博物館 プレオープンイベント
・博物館パフォーマー 9月5日~11月1日までの土日祝
・秋葉神社大提灯の山車公開 9月5日(土)~19日(土)
・博物館やっとかめマルシェ 9月5・6日、19・20日(土日)、10月24・25日(いずれも土日)
・はくぶつかん競技大会 9月21日(月祝)、22日(火祝)
・名古屋市博物館プレオープン記念杯 らくだレース 10月4日(日)
プレオープンイベントに関する詳細は名古屋市博物館公式Webサイトにてご確認ください。
名古屋市博物館のグランドオープンは2028年4月15日を予定

今回は、本日2026年9月5日よりプレオープンする名古屋市博物館について、リニューアルの注目ポイントと特別展などのイベントのみどころについてまとめてお届けしました。名古屋市博物館は、今回のプレオープン終了後は再び休館となり、リニューアル工事を再開。グランドオープンは2028年4月15日を予定しているとのことです。

名古屋市博物館には「豊臣兄弟!」の等身大パネルも登場。従来のイメージとは全く異なる、スタイリッシュな名古屋の新スポットを一足先に見に行けるまたとない機会が待っています。
名古屋市博物館に行くには
名古屋市博物館は、地下鉄桜通線「桜山」駅4番出口から徒歩3分程度。駐車場が少ないため、公共交通機関を利用して向かうのがオススメです。
この記事は、2026年9月4日に開催された名古屋市博物館プレオープン内覧会にて取材した内容に基づいて、ナゴヤトコトンが独自にまとめて作成しました。貴重な取材機会を賜りましてありがとうございました。



